赤羽 いこい

三連投っす。今日は何が何でも焼き物を食べようと決意し、気合で仕事を早めに完了する。おかげで21時ちょい前に来店。カウンタ正面の席に陣取る。来店した直後にいつもの蛭子のじじいが「おい!はじまるよー」との号令を出すものだから何気なくテレビを見ると亀田長男のボクシングの試合が始まるところであった。店内もダークモード(ななめにカウンタに並ぶこと)になりつつ、かなりの活況ぶりで嫌がおうにも店内は高揚した雰囲気に包まれる。今日は店主はお休みのようで、ニシノさんがカウンタを仕切っていた。まずは熱燗と煮込みを注文。やっぱこれでしょ。煮込みをつついている間にゴングがなり、試合開始。店内の喧騒が一体化し、画面に熱い視線が注がれる。あっという間に3分が過ぎ、CMに。と、同時に注文が殺到。ぼちぼちクロージングを意識しての注文が集まる頃だが、オヒタシが3つ連続で売れていった。小生は初のトリハイを注文。トリハイとはトリスのハイボールのこと。200円。で、かなり濃いのだがこの値段。最高っす。てな感じでCM中は相当に注文が集中する。蛭子のじじいも「ありがとよー!」と感謝してるんだが偉そうなんだかわからない雄叫びをあげる。と、隣の御仁が食洗機の上にあるものを指し、クールな面持ちで「こうや豆腐」と注文を入れる。うーむ、この御仁平凡な顔立ちだがまぎれもなくA級立ち飲み士である。小生なら「あれください」としか言えない。そういやこの御仁、注文が的確であるばかりでなくかなり渋い。畏敬の念で御仁をみてみると、やはり身のこなし、酔い方、酒を飲むペース、いずれも絶妙であった。そうこうしているうちに3ラウンド開始。店内は早くもだれてきた感じ。蛭子のじじいが一人で気を吐く。じじいは「オラ、右だろ〜!」と叫びながら床を掃く。店のスタッフはボクシングなどには目もくれず目の回るような注文を粛々と捌いている。俺はそんな様子を眺めながら熱燗、豚バラ、二杯目の煮込みに進んでいった。そして二杯目の熱燗を頼んだ。あー幸せ。と、いよいよボクシングは佳境に入った。と、油断してたらいつのまにか亀田が勝ってしまった。なんか急所にいいパンチが入ってしまった感じ。感嘆とも溜息ともつかない声がと店内に漏れる。そしてヒーローインタビューが繰り広げられたのだが、その間も店のスタッフは黙々とクロージング作業をしていた。そうだよな、うーむ、やっぱそうだよな。と思った。日常という名の日常。日々があっての日々。何があろうと日常は日常だし、たかがボクシングでそのペースは狂わない。ってことだよなぁ。ヒーローは今日だけのヒーロー。永続的なものではない。う、うーむ。と唸りつつ閉店の時間が近づいてきたので店を出た。
煮込み110円x2、熱燗180円x2、豚バラ220円、お浸し110円 トリハイ200円 合計1110円